中国山地の山あいにあり林業でも有名な勝山で森林管理を行っている初本さんは、耕作放棄になる田を引き受けてもらえないかと声をかけられたのが農業と向き合う始まりだったそうです。かつて出雲街道の宿場町として栄えていましたが見回すと地域の高齢化が進み耕作放棄地が目立つ状況に「何とかしたい」と奮い立った初本さん。農業分野に進出することを決めます。
そして「お米を食べて元気になってほしい」という想いから「勝山の力米(りきまい)Farm」と名付けました。以来重機機械を工夫しながら農業利用への工夫など研究を進め、評判が評判を呼んで任される農地が増えていきました。現在では21haもの面積を管理しています。
土木林業をされているため「山のこと、土のこと」に関して豊富な経験をお持ちの初本さん。お米の栽培に関しても常に研究をされています。
お米を栽培すると大量に出る「もみ殻」に困り、もみ殻からバイオ炭を製造していることを聞きつけ隣の新見市の農家さんに見学に行きました。そこで出会ったバイオ炭製造機は、野焼きでできる「生焼け燻炭」と違って完全炭のため土壌改良と有用菌の住み家になります。
早速バイオ炭製造機を導入し、苗を栽培する「育苗床」に使用し、有用菌を振りかけて栽培しているため初本さんの苗は根がしっかりと伸びて丈夫な苗になります。
近年の地球温暖化による高温障害や水不足で、米農家は稲作に苦戦しています。加えて水田に水を張ることはメタンガスを発生させるとも言われています。初本さんは隣の兵庫県で開催された研修会で、植物が自ら水を探すため深く根を張るのを助ける「菌根菌」の存在を知りました。これにより高温障害に強くメタンガスを発生させない「地球の環境変化に対応した」米作り技術が確立できます。
早速取り入れて、水を張らない「乾田」に直接種籾を播く「乾田直播」栽培に取り組んでいます。そのため初本さんの稲は根がしっかりと大地の奥まで元気に伸びています。合わせて、鶏糞・豚糞由来の堆肥を使うなど、化成肥料や化学農薬をできるだけ減らした「減農薬栽培」を研究しています。
まだまだ取組の改良をする必要がありますが、「地球の環境変化に対応した」お米には初本さんのこだわりが詰まっています!
日本全国で広く栽培されているコシヒカリ。「お米の王様」とも言われています。粘り気と甘みが強く、香りとつやが良好という特徴があります。比較的冷涼な気候を好む品種のため日本全国の山間部で栽培が盛んです。
勝山地区も中国山地の山間の町で標高が高く、冬場には雪が降ります。冷涼な気候と蒜山三座からの清水で育ったコシヒカリはいかがでしょうか?
もち米の最高品種の一つである「ヒメノモチ」。お米の白さと、お餅にしたときの「きめの細かさ」と「粘りの強さ」が特徴で、もち米の中でも比較的あっさりとした上品な味なので、お餅以外にも赤飯やおこわに利用されます。
穂に実る実の数が他の品種に比べて少ないため、希少価値が高いもち米として人気があります。
初本さんのヒメノモチ栽培の田は、山の中腹に点在しています。
山の雪解け水と肥沃な土壌で育てられたもち米を味わってみませんか?
耕作放棄地が増えている中山間地域で、土や細菌の力を借りて農業を守ろうとしている初本さん。地球も食べる人も「元気に」させてくれるこだわりいっぱいの「力米(りきまい)」をぜひ大切な人と味わってみてください。